どもっ、いつまでたってもおっかなびっくり投資をしているカプリです(´Д`)
今回は、投資家のマックス・ギュンターさんが書いた『マネーの公理』を読みました。
奥付によると、マックス・ギュンターさんの父親は、スイス銀行界で幅を利かせていた金融マフィアのひとりだったそうです( ・_・;)
初版は2005年となっているので、新しい本ではないですが、投資本としては名著とされています。
私も、いつか読んでみたいなと思っていました。
この本は、スイス人銀行家たちに何世代にもわたって伝えられてきた投機の法則をまとめた箴言集で、12章(12の公理)から成っています。
それでは、順番にみていきましょう!
- 第一の公理 リスクについて
- 第二の公理 強欲について
- 第三の公理 希望について
- 第四の公理 予測について
- 第五の公理 パターンについて
- 第六の公理 機動力について
- 第七の公理 直感について
- 第八の公理 宗教とオカルトについて
- 第九の公理 楽観と悲観について
- 第十の公理 コンセンサスについて
- 第十一の公理 執着について
- 第十二の公理 計画について
- 感想
第一の公理 リスクについて
この章では、ふたりの若い女性が登場します。
ひとりは「慎重なシルヴィア」、もうひとりは「大胆なメアリー」です。
ふたりはウォール街の大手証券会社E・F・サットンの従業員で、それぞれ違う戦略で投機を実行します。
シルヴィアは普通預金、定期預金、債券などで安全な運用を目指しました。
メアリーはリスクをバリバリ取って、勝負に出ました。
そして、ふたりが50代半ばになったとき……。
シルヴィアは金持ちでも貧乏でもない状態でしたが、メアリーはお金持ちになりました。
リスクを取った結果、最初は痛みを伴いましたが、やがて、リスクは期待通りの成果を生み出し、金の投機で大成功を収めたのです。
これはつまり、お金持ちになるには、リスクを取って勝負するしかないということをいいたいのでしょう。
まあ、親がお金持ちなら、お金の心配はしなくて済むかもしれませんけどね(^^;)
そして、この章の最後では、分散投資を否定しています。
えっ、て思いました(゚ω゚;)
私は資産運用は分散投資が王道と考えていたので、ちょっとビビりました。
44ページにウォール街の格言が紹介されています。
「すべての卵はひとつのカゴに入れろ、そしてカゴを見守れ」
えっ、「すべての卵をひとつのカゴに盛るな」じゃないの?
って思ってしまいましたが、これには理由があります。
1ダースものカゴを見守るより、ひとつかふたつのカゴを見守る方が簡単だからだそうです!
なるほどです(゚ω゚)
確かに保有銘柄が増えると、全部に目を配るのがおろそかになってしまいますよね。
分散投資にもいいところはあると思いますが、これはつまり、分散投資ではなく、リスクを取って勝負に出ないとお金持ちにはなれないよ、ということなのでしょう(^◇^;)
第二の公理 強欲について
前半では、カジノの客の例を出し、賭けに勝っても、幸運を引き延ばしてはいけない、と説明しています。
「常に少額を賭け、素早く降りる。強欲に支配されてはいけない。適当な利益が出たら、現金に換えて、立ち去るのだ」
う~ん、これについては、売った途端に、更に株価が上昇していく、みたいなことがよくあるので、完全に同意とはいえないところです。
株を持ち続ける握力って大事じゃないですか?
持っている株が調子よく上昇しているなら、株価が下がり始めてから売ってもいいじゃん、って考えてしまいます。
まあでも、そういう考え方が強欲ということなんでしょうね(^_^;)
後半では、自宅の不動産価値が、購入したときからかなり上昇したときの夫婦の話が紹介されています。
夫婦は自宅を売却するつもりでしたが、更なる上昇を期待して、家を保有し続けました。
やがて不動産市場が崩壊して、夫婦は結局、買ったのと同じくらいの金額で売るしかありませんでした。
不動産バブルの崩壊って、どこの国でも、いつの時代にもあるんですね(^_^;)
自分も同じ立場だったら、夫婦と同じ行動を取ってしまいそうです(>_<)
自分の強欲をコントロールするのは、なかなか難しそうです。
「後悔を恐れてはいけない。ピークがわからないなら、ピークがまだ先だと考えるのではなく、近いと考えなければいけない。利益を確定して、立ち去るのだ」
なるほど、これは正しそうですね~(*^_^*)
第三の公理 希望について
損切りの大切さと、投資効率について書かれています。
「正しい選択は、価格が明らかに下落し始めたときに逃げ出すことだ」
確かに逃げ遅れると、ついナンピン買いしたりして、売るに売れなくなり、塩漬けにしてしまうことってありますね。
私は何度も経験があります(T_T)
というか、いま保有している塩漬け銘柄って、ほとんどそれです(^◇^;)
でも、何年か待って、塩漬けにしていた株が買値に戻ってくれば、ヤレヤレ売りすることができます。
その株の配当金を受け取っていたのならば、損をしていることにはなりません。
ただし、その期間は塩漬け銘柄に投資した資金を使うことができないので、非常に投資効率は悪いことになります。
この本では、さっさと損切りをして、より有望な対象に投資することを勧めています。
まったくその通りなのですが、損切りは痛みを伴いますからね~(^^;)
「一部の人にとっては途方もなく苦痛なことだ。幸い、この苦痛は、慣れれば緩和されると私は断言できる」
本当ですか、マックス・ギュンターさん?
私が損切りの苦痛に慣れないのは、経験不足ということでしょうか(;´Д`)
第四の公理 予測について
この章の結論は、未来の予測はできないっていうことです。
勝つこともあれば、負けることもある。
予測は正しいこともあるし、間違っていることもある。
だから、エコノミストの言うことなんて、信じるべきではないと(^_^;)
まあ、将来なにが起こるかなんて、誰にもわかりませんからね。
「成功する投機家は、おそらく起こるであろうことについて行動するのではなく、現時点で実際に起こりつつあると、目の当たりにすることができる出来事に反応する」
なるほどです。
でも、私のような凡人だと、なにが実際に起こりつつあるのか、見過ごしてしまいそうです(>_<)
第五の公理 パターンについて
株式市場はカオスであり、カオスのなかに秩序や法則は存在しないと主張しています。
そして、歴史は繰り返されることもあるが、めったに繰り返されない、と書かれています。
マジっすか?
米国の作家のマーク・トウェインが「歴史は繰り返さないが、しばしば、韻を踏む」という言葉を残していますよね。
以前、相場は過去を記憶して動く、となにかの本で読んだことがあり、私は、株式市場には秩序はないにしても、法則性や再現性はあるのではないかと考えていました。
過去の通りに動くということではなく、過去と反対になるという意味も含めて、過去を記憶して動く、と解釈して構わないでしょうか、マックス・ギュンターさん?
そして、金儲けは運次第と書かれています。
「運こそが、投機の成功や失敗において最も強力な要因である」
運次第っていっちゃうと、なんか身も蓋もないですが、
「自分が興味のある投機対象は徹底的に研究すべきであり、よく見えるものがあれば、最善をつくして賭けるべきだ」
とも書かれています。
「幸運は、よく準備した者にのみ訪れる」というパスツールの言葉もありますから、勉強を続けて、チャンスがあったら賭けるというのが大事ということですかね(^^;)
第六の公理 機動力について
銘柄に執着してはいけません。
銘柄に愛着を持ってしまうと、売りのタイミングを逃してしまいます(^_^;)
とくに、しっかり調べた会社だと、知らず知らず思い入れが強くなってしまいます。
「投資先に根を下ろしてはいけない。より有望な投資先が見つかったのであれば、迷わず乗り換えるべきである」
激しく同意です!
第七の公理 直感について
直感とはなにか?
自分でも気づいていない、心のどこかに保管されている情報が、意識に上がってくることです。
直感するときとは、これまでの経験や記憶が、無意識のうちに引っかかって、ひらめいている、という状態です。
ふむふむ。
大事なのは、直感と希望を混同してはいけないということです。
こうなって欲しいという希望的観測と直感はまったく違うものです。
直感を感じたら、直感を生み出すほどの膨大なデータが自分のなかに存在しているかどうかを、自問しなければなりません。
十分に勉強してきたか?
多くの知識を吸収してきたか?
そして、そのひらめきを説明できるのであれば、直感は信用できるということです。
「良い直感は、あなたが知っているなにかであるが、あなたがそれをどう知ったのかを知らない」
う~ん、そうかもしれませんが、自分では判断がつかないのではないでしょうか(^_^;)
虫の知らせとは違うんでしょうか?
なかなか難しいです(;´Д`)
第八の公理 宗教とオカルトについて
宗教やオカルトがを信じても、お金持ちにはなれない、というお話です。
「オカルト的な思考への傾倒は、あなたの健康には無害かもしれないが、あなたのお金にとっては有害である」
まあ、確かにそうですよね。
占いや迷信が本物だったら、占い師や予言者はお金持ちになっているはずですが、そうなっていないですからね。
占いや迷信でお金持ちになれた人は、ただ運がよかっただけなのでしょう。
第九の公理 楽観と悲観について
「プロは楽観を持ち合わせていない。彼が持っているのは自信である。自信は、悲観を建設的に利用することから生まれる」
「自信は、最高を期待するところからではなく、最悪に対処する術を知ることから生まれる」
う~ん、説得力のある言葉ですね!
この章では、若い夫婦のサムとジュディが、未開発の土地の投機に失敗したお話が例として出てきます。
なぜ失敗したか?
十分に悲観的ではなく、楽観的過ぎたから、と説明されています。
「もしも楽観的な気分になったら、その良い気分が事実によって正当化できるかどうかを判断するのだ」
物事は楽観的に考えたほうが気持ちが楽になりますが、投機に関しては、最悪の事態を想定してお金を賭けないといけないということですね。
そうしないと、お金がなくなってしまいますからね(>人<;)
第十の公理 コンセンサスについて
「真実は多くの人によってではなく、少ない人によって見い出されてきた」
「多くの人は正しいかもしれないが、そうではない可能性も高い。多数派の主張が真実である、と推測する習慣から抜け出さなければならない」
いや~、心に響く言葉ですね!
「人の行く裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け」というあまりにも有名な相場格言がありますが、まさにこれですね。
相場は、群集心理によって過剰に動きすぎることがありますが、人が群がる道を避けて、その裏道を進んでいくと、誰にも気づかれていない花の山があるという意味ですね。
王道ではなく、逆張りを行くことでお金持ちになれる!
たぶん、その通りなんでしょう。
何も考えずに、大多数に同意してはならないというお話でした。
第十一の公理 執着について
ナンピン買いをしてはいけないというお話です。
第三の公理とかぶるところがありますが、ナンピン買いで平均コストを下げたとしても、それでお金持ちにはなれず、何年もの間、悪い投資に捕まってしまう可能性が高いということです。
「ナンピン買いは悪い状況を改善できるように思える魅力を持っているが、そうした誤った考えを信じてはいけない」
そうなんでしょうか(˘・_・˘)
私はどちらかというとナンピン買いをするほうだし、ナンピン買いが悪いとは考えていないので、第十一の公理については、大賛成とはいえないところです。
まあ、それが私がお金持ちになれない理由かもしれませんが……( ̄ ‘i  ̄;)
第十二の公理 計画について
この章では、フォードを早期退職して、フォードの株の配当金で老後を暮らす計画をたてたポウラという女性が登場します。
全財産をフォード株につぎ込んだのが1970年代後半のことで、当初は配当金のみで生活することに問題はありませんでした。
しかし、徐々にフォードの業績が悪くなり、減配(無配のときもあった)したせいで、彼女は持ち株の3分の1程度を売却して、生活の足しにしなければなりませんでした。
1984年になって、状況が少しだけよくなり、配当金も多少回復したので、彼女はなんとか生き延びることができました。
こんな状況は、彼女が長期計画で描いていたものではありませんでした。
なかなか悲惨なお話ですね(^^;)
「今日の傾向を延長すれば将来が見えると考えるのは、とんでもないことだ。これらの傾向のいくつかは、次の20年の間には疑いなく、消滅するか、あるいは反転する」
「将来の、知ることができない出来事に対処するために、自分の問題を整理しようとするのではなく、出来事が実際に姿を現したときに対処するのだ。チャンスが見えたら、それに向かって進むのだ。危険が見えたら、逃げればいい」
考えさせられる言葉ですね~( ˘︹˘ )
この章では、長期投資を推奨していません。
私はいままで、長期投資こそ、投資の王道だと考えていましたが、第十二の公理を読んで、ちょっと考えが変わりました。
買ったらずっと持ち続けるだけなので、長期投資は楽チンですが、定期的な見直しの必要性を感じました。
また、世のなかには、長期契約の住宅ローンや生命保険があふれていますが、契約する前には、勉強したり、調べたりして、十分な準備が必要だなと思いました。
感想
いや~、感動しました(^^)
私は12の公理のすべてに大賛成という訳ではないのですが、投機の世界だけではなく、生きるための知恵としても役に立つような金言が満載の、とても心に残る内容でした。
今後も、投機について悩んだときに読んでみたいです。
私にとって、手近において、一生手放したくない一冊になりました。